お笑い芸人になりたい人に伝えておきたいこと

お笑い芸人になりたい!

今の日本はお笑いが盛んです。
お笑いブームが去ったとはいえ、お笑い番組やバラエティ番組は毎日のように放送しています。
テレビをつければ芸人が映っていない時間なんてないといってもいいでしょう。
数年前にもM-1グランプリが復活してニュースになりましたね。

今流行りのYouTuberに押されてはいるものの、今でもお笑い芸人は子どもたちの夢の一つです。

ですが、一言言わせてください。

やめた方がいいです……!

「そんな言葉は聞き飽きた……?」
「いつも親に反対されている?」
「大人は何も分かっていない?」

いやいや、そういう夢を追いかけるどうこうの話をしているわけじゃないです。
この記事では15年間お笑い芸人を続けた私が、お笑い芸人の「本当に辛い真実」をお伝えします。
お笑い芸人になりたいあなたは一度読んでいただけたら嬉しいです。

自己紹介

中身に入る前に身バレしない程度に自己紹介をします。
私は芸歴が15年になる業界でいうと「そこそこの中堅」の芸人です。
最大手のよし○○ではないものの、事務所にも入っています。
テレビも月に1~2度出演していて、あとはラジオやライブ、お笑いイベントなどに出演しています。
自分で言うのはあれですが、まぁ、「そこそこ頑張っている方」です。
テレビに一度も出れずに辞めてしまう芸人の方が多いですからね。

今までたくさんの芸人が辞めていくのを見届けました。
先輩、後輩問わず。
才能がある、ないに関わらず。

芸人の大変さは入ってみないと分かりません。
もしかしたら、楽しさも。

稼げない

芸人は本当に稼げません。

よく地方のイベントで最大手よし○○の若手芸人さんが言う決まり文句があります。

「ぼくらの初めてのギャラいくらか分かりますか?」

観客は思い思いに安い金額を答えます。
ですが芸人はこう続けるんですね。

「もっと安いです」
「もっと安いです」
「もっともっと安いです!」
「答えは500円です」

だいたいここで観客の半数くらいが驚いた顔をします。
芸人は更に続けます。

「でもぼくらコンビで二人じゃないですか。これを二等分するんですよ」
「一人250円です」

これでもう少し驚く人が増えます。
で、こう続けるんですね。

「こっからきっちり10%税金もっていきますからね」
「税金引かれて一人当たり225円。これ1ステージじゃないですからね!ひと月ですからね!」

まぁここまでは本当にテンプレ。
お笑いに詳しくない人でも聞いたことある人は多いんじゃないでしょうか。
だいたい慣れている芸人はこれだけじゃウケないことを分かっています。なのでこの後こう続けます。

「それでもね、ありがたいことにぼくらも結構売れまして、月収がなんと!100倍になったんですよ!」

え?すごい!やっぱり夢がある世界だな、と観客は思うでしょう。

「22500円!」

100倍でもそんだけかい!というやつですね。

コンビニのバイトをした方がよっぽど、よっっっぽど稼げます。

この話の怖いところは、よし○○さんの給料は安いなぁということではありません。
現在、うちの事務所で『毎月22500円以上もらっている芸人はほとんどいない』ということなんです。

テレビやラジオのレギュラーがあれば、まだ可能性はあります。
毎週末、土日毎日仕事が入れば、まぁなんとかなります。
でも、皆が皆そんなに売れっ子ではないので、結局売れている芸人は稼げる。そうでない芸人はいつまで経っても貧乏、となってしまうんです。

よし○○さんのギャラは10分の1と言われています。
10000円もらったら事務所が9000円持っていくということですね。
これはおそらく他のどの事務所よりも搾り取られています。
他の事務所も、5:5だったり、7:3だったりと割合はバラバラですがまぁ10分の1ということはないでしょう。
フリーなら丸々もらえるわけですからね。

ならよし○○なんて辞めて他の事務所に入ればいいじゃないか?
確かにそうかもしれません。でもよし○○さんはその分仕事の数があるんです。
安くても、営業の数が多く、コネやパイプもある。それが最大手の強みです。

じゃあやっぱりよし○○さんが最強?
いや、一概にそうとも言い切れないんです……。

バイトに入れない

当然ですが、時給制のアルバイトで丸1日働いて1000円ということはありません。
でも、お笑いの世界だと往々にしてある話です。
また自主ライブだとギャラはもらえず、ノルマで逆にお金を払うケースも少なくありません。
しかもライブや営業がある日は当然アルバイトに入れません。
当然、それだけで生活できるはずもなく、芸人は極貧生活を強いられることになるのです。

また、テレビやラジオの収録は何カ月も前から決まっているものだけではありません。
小さいエキストラ的な出演や、当日になって急遽ピンチヒッターとして呼ばれることもあるので、アルバイトを入れているとチャンスを逃すことになります。
テレビに出たい!という強い志を持つ人ほどアルバイトを入れれず、家でただ不安と闘うことになるのです。
勿論、そうしたからといってテレビに出れる保証は一切ありません。
猿岩石で一世を風靡した有吉さんがブームが去った後仕事が一切無くなり、8年間絶望と戦いながら家でテレビを観て過ごしたという話は有名ですね。

また、芸人の世界は上下関係が厳しく、先輩に誘われた飲み会をバイトがあるからと断ることなどあってはいけません。
先輩からの急な呼び出しや、局のスタッフさんとの打ち合わせ、そして自身のネタを作る時間。
しなければならないことはとても多く、しかもそれが報われるかどうかも分かりません。
その為に、泣く泣くアルバイトを削る。
それが芸人の日常です。

人気が出ない

身も蓋もないことを言います。面白くても売れません。
事実、私の周りにも死ぬほど面白いのに全く売れない芸人はたくさんいます。

また、逆に「なんであいつが売れてるんだ」みたいに思うことも多々あります。
テレビを観ていても「自分ならこうする」「自分ならもっと上手くできる」と思う毎日です。

勿論、売れる人は何か理由があります。あるはずです。
でもそれが何なのかは誰にも分かりません。
テレビ局の偉い人も、事務所の偉い人も分かりません。

カッコよく言うなら「時代」に選ばれるかどうか

面白いはもう大前提なんですね。
そして売れるために努力をすることはできても、「これをすれば売れる」ということは存在しません。
いくら努力をしても人気は出ない。
いくら面白くても人気は出ない。
そして人気が出ないと周りは何も評価をしてくれない。
これが芸人の世界です。

外出先で変なことをできない

テレビに出ると、次第に街中で声を掛けられることが増えていきます。
初めはとても嬉しかったです。
自分が芸能人であることを実感できるし、周りにもドヤ顔できるし。
でもそれも初めのうちだけですね。
やはりデメリットの方が大きいです。
ろくに女の子と手をつないで歩けないし、コンビニで立ち読みも出来ない、エッチな本を買うことも出来ない。
気にしなければいいのですが、気にせず生活できる人なんているのか。
人ごみの中で声を掛けられたら、お店の人から嫌な顔をされますしね。
なので、外出する時はマスクをつけるようになりました。
私ですらこうなんだから、もっと売れてる一流芸人の方々はどれだけ苦労されているやら……。

仲間がどんどん辞めていく

芸人には「辞めるタイミング」というものがあります。
大学を卒業するとき。
就職をするとき。
恋人が妊娠したとき。
子どもが生まれたとき。
親の体調が悪くなったとき。

いくら面白くても、才能があってもオーラがあっても、辞めていきます。
経験で言わせてもらうと、才能がある人ほど早く辞めていきます。

引き留めることはできません。
私も同じだから。
同じ環境で苦しんで、切磋琢磨した仲だからこそ、分かる感情があります。

私たちは、辞めるきっかけを探しています。

「売れたい」という感情の裏には「辞めたい」という感情があります。

今の生活が辛い。
この生活から脱出する方法は二つしかない。
「売れる」か。
「辞める」か。

だましだまし自分の感情に気づかないふりをして続けるうちに、
一人ひとりと先輩が辞めていく。後輩が辞めていく。
気づくと走っているのは自分だけになります。

自分より面白いあいつもあいつも辞めた。
それでも自分も信じられない未来を信じて努力を続けるしかない。
これが芸人の世界です。

自分と同じように親も歳をとる

私は今年で芸歴15年になります。
ということは芸人を始めた時から15歳歳をとりました。
ということは同じように両親も15歳歳をとったということになります。
元気だった両親がだんだんと年老いていく姿は見ていられません。
自分が立派に独り立ち出来ていないという負い目もありますから。

売れるかどうか分からない世界に身を置く以上、自分のことは仕方がないと諦めはつけられます。
でも親に対しての申し訳ない気持ちは、多かれ少なかれ抱えて生きています。
そんなこと誰も言いたがりませんけどね。

将来の不安

歳を取ればとるほど、将来の不安は増していきます。
バイトもだんだんと選択肢が狭くなり、
社員さんよりバイト歴が長くなり、
気づくと周りは年下ばかり。
まだ潰しの利く仕事ならいいですけどね。
レンタルビデオ屋なんかもう悲惨です。

同い年の友達は家を買った車を買ったが当たり前の年になっても雨の中原付で移動する。
だんだんと体も無理が利かなくなってきて、体調を崩しがちになります。
そうなるとどんどんこのままでいいのかという不安は増していきます。

趣味でも出来る

お笑い芸人にもいくつかの種類があります。
一つはお笑いだけで飯を食っている人。
一つはそうなる為に頑張ってバイトをしながら努力している人。
一つは就職して安定した収入を得ながら、趣味として芸人をしている人

最後の中にも実は何かをきっかけに売れてやろうという野心を持っている人と、そうでない完全に趣味の人がいます。
就職をしている方が当然収入も安定しますし、社会的な風当たりも厳しくないでしょう。

実際平日のライブにバンバン出たり、テレビのオーディションをどんどん受けたりしなければ、就職しながらでもお笑いは出来てしまいます。

「いや、俺は売れるんだ!」
そう歯を食いしばって努力しても、ふいに何かで話題になってそういう人がバーンと売れてしまうことだってあります。
何度もそういった悔しい思いをしながら、ふと気づいてしまうんですね。
「あれ?就職してもお笑いって出来るじゃん」と……。

目の前のお客さんを笑わせることにプロもアマも関係ありません。
就職しても出来るんですよね。

お笑いで成功してお金が欲しい。
就職した方がお金が稼げるんですよね。

じゃあ自分を支えていたお笑いのモチベーションって一体なんなんだろう。
それに気づいてしまうと、一気に将来が真っ暗になります。

そもそも面白くない

芸人は面白いもの。
ということは面白くないと芸人ではない。
その理論でいうと、面白くない人は一生面白くないままです。

どの世界にもカリキュラムや教育体制というものは存在します。
何も分からない状態で業界に飛び込んできた新人を一人前に育て上げる制度が整っています。

ですが、お笑いの世界は教育方法が確立していません
いくつかのルールや定石はあります。
ベタな笑いもあります。

でもそれはあくまで芸の一部分です。
基本的には全て自分で考えて、他人の芸を見て盗まなくてはいけません。

でも言ってしまえば、それが出来る人は初めから出来ます。
芸人としてデビューする前から人を笑わせています。

逆に言えばこれが出来ない人は一生出来ないままです。
誰も面白くなる方法は教えてくれないし、そもそも分かりません。

そして、「面白くない」「才能が無い」ということを本当に真摯に伝えてくれる人は、いません。
そのまま、50歳になっても、60歳になっても、面白くないまま、売れないまま、芸人を続けるのか。

この恐怖に耐えられる人はなかなかいません。
いたとしてもそれが正しいとは到底思えません。

さて、ここまで、芸人の辛いところばかり書いてきましたが、勿論そんな嫌なことばかりではありません。
というか自分自身書いてて落ち込んできました(笑)
なのでここからは芸人のメリットについて書いていこうと思います。

当たるとデカい

芸人の世界は当たるとデカいです。
それはもうめちゃくちゃ稼げます

たけしさんが年収15億だとか
有吉さんが年収8億を超えただとか

それはもうとんでもない額の世界。

M-1で優勝したら賞金はコンビで1000万円。
事務所に持っていかれたり、税金で引かれた部分を考えても、それによって増えた仕事で翌年の年収は3000万円にも届くといいます。

また、俗にいう「一発屋」という人たちも稼いでいます。
「なんでだろ~」で一世を風靡したテツandトモさんは営業のギャラが一本100万円近く、今でも年収は1億を優に超えるといわれています。
また、芸能界で得た人脈や交渉術で会社やお店を経営し、大成功している芸人もたくさんいます。
(勿論全員が全員成功しているわけではなく、経営に手を出して失敗した芸人もたくさんいますけどね)

これは普通の会社勤めの人ではなかなか届かない世界だと思います。
一世代でここまでの富を築ける職業は、なかなか多くないのではないでしょうか。

良い女をめちゃくちゃ抱ける

初めに言わせてください。これは私の言葉ではありません!(笑)
今は芸能界を引退された島田紳助さんがよし○○の養成所の特別講師として講座をされた時の言葉です。

でもこれは確かにその通りです。
芸人はめちゃくちゃモテます
モテようと思えば、ですけど。
私は芸風的にも顔的にもあまりそういう話からは遠ざかっていますが(笑)

それこそ見たこともないような美人を抱けます。
CAやナース、グラビアアイドルなど、交友関係も普通の会社勤めの人では知り合えないような綺麗な人と出会えます。

まぁ、だからなんだと思う人も多いでしょうが(特に女性の読者の方、すみません)、
これをモチベーションに芸人をしている人はとても多いです。
下手したらこういうよこしまな動機の芸人の方が面白かったりするから、侮れません。

チヤホヤされる

名が売れるというのはデメリットにもなるのですが、やはり街中で声を掛けられると嬉しいものです。
芸人なんて承認欲求の塊なんだから、それはそれは気持ちのいい瞬間です(笑)
会社員だと絶っっ対にあり得ないことですからね。

電車に乗っていて女子高生に声を掛けられたり、
居酒屋で隣の人に奢ってもらったり、店の人にサービスしてもらったり。
サインや握手を求めてきた人が緊張していたりすると、「おぉ、そんなに憧れの人なのか」と嬉しくなります。
他ではなかなか満たせない、有名人の特権、というやつですね。

ウケると最高に気持ちいい

ウケるというのは本当に気持ちいいです。
何よりこれに尽きます。
ライブで自分が発した言葉で、表情で、目の前のお客が笑い声をあげる。
それは1人、2人でも気持ちいいですが、それが100人単位になると笑い声は「どっ」と聞こえます。
芸人はこれを「会場がうねる」と呼んでいます。
会場が波のように揺れ、バッコンバッコンと笑い声や笑顔が自分に向かって飛んでくる快感は、もう何ものにも代えられません。
こればっかりは、体験した人でないと理解できないことでしょう。

ほんこんさんが言った言葉に全てがこめられている気がします。

「一億円貰うより一億人笑わす一言のほうが欲しいわ」

まとめ

お笑い芸人になるのはお勧めしません。

正直、お笑い芸人は職業ではありません。
事務所に所属していても、事務所が生活を保障してくれるわけでもない。
あくまでも個人事業主の扱いです。
しかも普通の人なら絶対に手を出さない、99,9%破産する、そんな劣悪なジャンルの事業です。
ギャンブルでもやっていた方がよっぽど安定するでしょう。

それでもお笑い芸人は、夢のある職業です。
というか夢しかない職業です。
生活を捨てて、安定を捨てて、何もかも捨てて、それで何が得られる?

何も得られません。

でも、もし、あなたが、それでも遮二無二前を見据えて努力を続けられたら、

生活苦も、絶望も悲しみも、全部乗り越えて、成長し続けることが出来たら、

もしかしたら、

目の前の人を笑わせることが出来るかもしれません。

それを素晴らしいと思えるかどうか。
もし素晴らしいと思えるのならば、お笑い芸人を目指してみてもよいのかもしれません。
お笑いは素晴らしいですよ。
やる側に行くか、見る側に行くかは置いておいてね。

プログラマーに転職すべきか?20代で転職してわかったこと

「プログラマーになりたい!」

そう思っている人に伝えたいことがある。

プログラマーなんてやめておけ。
夢見る人は多いけど、現実は酷い世界だから。

確かに良い面もあった。
けど総じて悪い面のほうが多い。

今回は、そのあたりのプログラマー事情を書いてみる。
プログラマーに転職したい人に読んでもらえれば。
特に20代、30代の若い世代に。

プログラミングができなくなる

俺は物作りがしたくてプログラマーに転職した。
子供のころから工作が好きだったし、エンジニアに憧れていたし、中学生のころからパソコン三昧だった。
プログラマーという職種は、子供のころからの憧れでもあった。

転職して1年目、2年目は楽しかった。
残業は多かったが、プログラミングに没頭できたし、何よりも仕事自体が好きだと思えた。
自分に向いている仕事だと思った。

でも3年目あたりで設計に回されてから狂った。
設計の仕事は、お客さんから要望を聞き、設計書を書き、それをプログラマーに伝えること。
ヒアリング、電話、プレゼン、プログラマーの管理。
プログラミンは週に1日~2日ほど。

さらに4年目からは、設計にプラスして、営業までやらされることになった。
東京、大阪、名古屋。
色んなところに出張に行かされた。

プログラミンは完全にできなくなった。

設計の仕事自体は、まだそれなりに楽しかった。
でも人のマネジメントだったり、お客さんからのクレーム対応、外部の協力会社(元請け、下請け)との連絡や調整は、苦痛でしかなかった。

プログラマーは評価されない

俺は一流のプログラマーになりたかった。

理由は単純にカッコいいから。
パソコンに向かってバリバリとコードを書く姿は、想像しただけでもカッコいい。

プログラマーは、そんな高度な専門職だと思っていた。
どんなに知識や経験を身に着けても次から次へと新しい技術が出てくるし、どんなに頑張ってもそれ以上にすごい人達が沢山いるし、これができればプロだという天井もない世界でもある。

「プログラマーは人によって生産性が10倍、20倍にもなる」
よく話題になるテーマだが、これは確かにその通りだと思った。
そのくらい専門性の高い職業だと思う。

けどプログラマーの評価は低い。

プログラミングに慣れたら、設計、プロジェクト管理者、営業などに「ステップアップ」しなければいけない。
そう、プログラマーは最下層の職業なのだ。

もちろんプログラマーを高く評価する会社もある。
googleやfacebookなどの外資系は、プログラマーを優遇しているし、社内的な地位も高いと聞く。

でも日本の企業の大半は「プログラマー軽視」の「管理者重視」である。

30代、40代になってもプログラマーなのは落ちこぼれなのである。
50代のプログラマーは、何かしらの欠陥があるとまで言われるくらい。

プログラミングを一生の仕事にしたいけど、それは許されない。

俺は、
「プログラマーとしてやっていきたい」
と会社に願い出たことがある。

で、色々とすったもんだの末に、プログラマーに戻してもらえた。

でもその年の社内評価は、最低の「Eランク」だった。

プログラマーは給料が低い

プログラマーの給料は高いと思っていた。
高度な専門職だし、人手不足だし、その能力によっては会社の売り上げを大きく伸ばせると思っていたからだ。

でもそれは間違いだった。

プログラマーの給料は低い。
設計をやらないプログラマーなら月収20万円~25万円。
どんなに頑張っても30万円がいいところだろう。
もちろんプログラマーを優遇してくれる会社なら、給料がドンドン上がるのだろうけど、日本でそんな会社を見つけるのは宝くじに当たるようなものだと思ったほうがいい。

プログラマーなんてただの「人月」要因。
スキルよりも「人数」が重視される。
だからどんなにスキルを身に着けても「1人」以上にはなれない。

対する管理者は、スキル次第で大勢の人間を管理できる。
営業は、話術次第で大きなプロジェクトを受注できる。

でもプログラマーは「1人」でしかない。

例えば上場している大手IT企業は、1年目の新人にプログラミングを「一応」経験させて、2年目以降は設計やプロジェクトマネージャーとして育てている。
上場企業の給料でプログラマーをやらせるのは「割に合わない」からだ。

プログラミングなんてものは、下請けのさらに下の、孫請け、ひ孫請けに投げられる。
プログラマーとして一生やっていくなら、そういった下層の零細企業がいいのかもしれない。

だがそういった会社は間違いなく安月給である。

もし結婚して子供ができても、大学に行かせるのは不可能だ。
奨学金を借りれば行けるかもしれないが、子供に借金を背負わせるようなことだけはしたくない。

ちなみに俺が「Eランク」だった時のボーナスは、3万円だった(同期の管理者は100万円近く)

これがプログラマーの現実。

プログラマーはたらい回しにされる

俺は安定を求めていた。
人付き合いが苦手だったし、環境が変化するのは嫌いだったからだ。
一つの会社にドッシリと腰を据えて、仕事がしたかった。

でもプログラマーはたらい回しがデフォルトだ。
そう、プログラマーは外部に派遣される。
偽装派遣とかよくいわれるアレ。

違法なんだろうけど、IT業界じゃ息をするように当たり前のように行われている。

半年や1年間隔でいろんな会社に派遣される。
運が悪ければ1か月ごとに点々と新しい職場なんてこともある。

もちろん新しい職場では一番下っ端。
人間関係も新しく作らなければいけない。

これが本当に大変。
だから多くのプログラマーは、感情を無くして能面みたいな顔になる。
愛想が悪くて、ぶっきらぼうで、根暗なんて言われる。

でもプログラマー自身は悪くない。
不愛想が自分の身を守る手段なんだと思う。
毎回毎回、人間関係を作るのは非常に難儀。じゃあ最初から作らなければいい。それが不愛想という手段になるだけ。

しかもIT業界の派遣は、多重派遣。
間に3社、4社と入るため、自分がどの組織に属しているのかよく分からなくなる。

例えば派遣の面接に行くとしよう。
自社の営業に連れられて、顧客のところに行く。
でもそれは本当の顧客じゃない。
末端の下請けだ。
そこから次の下請けを紹介され、さらに次の下請けを紹介され、さらに次を紹介され、ようやく直請けの業者に来たと思ったら、ビルの外でさらに別会社の営業が待っている。しかも名刺を渡されてよく見てみると、初めて聞いた社名に俺の名前が書かれていて「あなたは××会社に所属していることになっている」と言われる。

これが結構辛い。
自分が何の力もない、ただの商品だと思い知らされるから。

もちろんプログラマー派遣をしていない会社もある。
自社製品を持っているような会社だ。

でもそんな会社は数が少ないし、もし運よくそういった会社に転職できても「修行に行ってこい」なんて言われて、結局派遣に出されたりする。
派遣の方が手堅く儲かるから。

プログラマーはたらい回しにされる。
安定どころか、毎月、毎年職場が変わる不安定な職業。

こんなのが一生続くと思うと気が狂う。

ここまでのまとめ

正直、プログラマーはオススメできない。
プログラマーなんてやめておけ。

・・・

でも俺は今でもプログラマーとして働いている。
そういった意味で言えば、プログラマーにも良い面がある。

そこを伝えないのはフェアじゃない。

だからここからは「プログラマーになって良かったこと」を書いてみる。

強力なビジネススキルが身につく

プログラマーで身につくスキルといえば、プログラミング能力だろう。
これはプログラミングが好きならグングン伸びる。

でも身につくのは、それだけじゃない。
ビジネスの根幹となる重要なスキルも身につく。
それが以下の3つだ。

・論理力
・シンプルに保つ力
・仕組みを作る力

まず論理力は言わずもがな。
プログラミングは論理の世界である。
何でもロジカルに考える癖が身につく。

この論理力は、ビジネス上で非常に重要なスキルになってくれる。
例えば、企画、分析、問題定義、計画、改善。
これらビジネスの重要な業務は、全て論理的な思考がベースとなっている。

次にシンプルに保つ力。
プログラミングコードは、シンプルを保つために関数、クラス、オブジェクト指向、デザインパターン、リファクタリングなど色んな技術がある。
これらの技術はコードをシンプルに保つためにある。
コードはシンプルなほど美しく、技術力が必要である。

このシンプルさは、ビジネスの世界でも重要である。
何にフォーカスし、何を切り捨てるか、常に取捨選択し、シンプルに保たなければいけない。
製品、デザイン、マーケティング、システム、ビジネスモデル、人間関係。
全てにおいてシンプルさが武器になる。

プログラマーを長く続けると、そういったシンプルに考える思考が自然と身につく。

最後に仕組みを作る力。
プログラマーの仕事は「自動化」である。
人の手でやっていた仕事を、プログラムで自動化するのだ。
プログラマーはこの自動化、つまり仕組みを作る力が身につく。

仕組みを作るというは、何もパソコン上に限った話じゃない。
例えばフランチャイズ店の業務標準化だったり、スーパーの業務改善だったり、職人業の単純化(流れ作業)だったり、物流センターの無人化だったり。

世の中は仕組みで動いている。
プログラマーをやっていると、こういった「仕組みを作る能力」が非常に高くなる。

・・・

プログラマーは、プログラミング能力が身に付くだけじゃない。
プログラマーは、ビジネスで生き抜くための強力な武器も与えてくれた。

転職先に幅が出る

プログラマーの転職先は幅広い。

まず「プログラマーからプログラマーの転職」はかなり楽である。
IT業界は転職が一般的だし、求人も多いし、需要もある。

またプログラマー以外のIT業に転職する人も多い。
WEBコンサルタントだったり、ネットワークエンジニア、サーバエンジニア、WEB広告、ECサイト運営、WEBディレクター、統計アナリスト、SEOディレクターなど、IT業界とは言っても職種は山のようにある。
どの職場で何をやるにしても、プログラミングのスキルは大いに役に立つ。

さらにプログラマーは、IT業界以外でも需要がある。
特に最近は、IT化を目指す会社からの求人も多くなっている。
物流、飲食チェーン店、農業法人、水産、医療、介護、保育など、これまでITと縁のなかった業界でプログラマーが必要とされている。
プログラミング能力は、こういった畑違いの業界で希少価値が高い。
それなりの待遇で迎えられることも多い。

このようにプログラマーは転職先に困らない。
これからの世の中は、ロボットに職を奪われるというけれども、プログラマーはその対極にいるんだと思う。

もちろん40代、50代になると転職は難しくなる。
でもスキルと経験を順当に積んでいけば、自然と色んなところから声がかかる。

プログラマーは1つの会社に縛られず、いくつもの選択肢を持った自由な人生が歩める。

面白い

プログラミングは面白い。

人によって合う合わないはある。

でも俺は面白いと感じている。
もう15年近くこの業界にいるが、プログラミングだけはいまだに飽きない。

何が面白いのかは自分でもよく分からない。

物を作る喜び、バグを突き止める快感、コードをキレイに整理したときの満足感、自動で動き出したときの爽快感、仕事に集中しているときのフロー感覚、色々なことができるようになる万能感、自分が成長している実感。

色んな面白さがある。
たぶん人によって面白さのポイントは違うんだろうけど、俺にとってはこの仕事が合っている。

突き詰めれば上に行ける

先ほどプログラマーは下っ端だと書いた。
社会的な地位は低いと。

これは事実だ。

でも努力次第でもある。
プログラマーとしての能力が認められれば、プログラマー重視の優良企業に転職ができる。
そういった会社では年収が1000万円を超えることも珍しくない。

プログラマーとして起業することもできるだろう。
マイクロソフトのビル・ゲイツ、ホリエモン、任天堂の創業者、楽天の三木谷社長など、成功者には元プログラマーが多い。
プログラマーには、ビジネスで必要なスキルが身につくからだと思う。

最近ではフリーランスとして年収1000万円越えもゴロゴロいる。

共同創業者として誘われる機会も多い。
実際俺は、何度か誘われたことがある。
安定志向の俺はすべてお断りしているが・・。
でもチャレンジ精神がある人は、ぜひそういったチャンスに飛び込んで行ってもらいたい。
数年で億単位の金を手にする話もチラホラ聞く。

コンサルを求めらる機会も多い。
実際に私は今、CTO(技術最高責任者)として2社と顧問契約をしている。
コンサル業は、給料の割が良いためか、そこに行きつくプログラマーも多い。
俺の場合は、給料の良さもさることながら、現役プログラマーとして働ける点に惹かれて顧問契約した。

さて。
プログラマーは下っ端の職業である。
ただしこれは自分の頑張りによって簡単に覆せる。

頑張れば頑張るほど、上を見ることができる職業でもある。
そういった意味で言えば、他の職業よりもやりがいは大きい。

まとめ

正直、プログラマーはオススメできない。
プログラマーなんてやめておけ。

・・・

でも、
もし努力する覚悟があるなら・・・。
その努力を続ける覚悟があるなら・・。

プログラマーも捨てたもんじゃない。

努力次第でどこまでも上に登っていける。

給料、地位、自己成長。そして自分のやりたい仕事。

これらは努力の上にしか築けない。
その覚悟があるならプログラマーもオススメできる。

ただし、自分を高められる会社に入ることが条件だ。
派遣を繰り返すような会社は辞めておけ。

君を商品としてしか見ないから。

そんな会社は成長できない。

プログラマーの成長を重視する会社を選ぼう。
そのためにコネや人脈、転職エージェントを活用して、しっかり情報を集めること。

それができて初めて転職は成功する。

それじゃ!

追記:20代、30代の若いうちに転職しとけ!